| 安良城紅 「BENI」 | 2005・02・09 | 64点 | |
| 今芸能界で絶大な影響力を誇る事務所、オスカプロモーションがエイベックスと手を組み、(強引なまでに)売り出している安良城の1stアルバム。「黒革の手帖」で使用された2曲目を始め、計6曲が大型タイアップ曲であるのを見ても、そのことがうかがい知れる。 作品に関してだが、本人の出自・育ち、大人っぽい外見、堪能な英語の発音、そして艶っぽさと伸びやかさとを兼ね備えた癖のない声質〜こういった各々の要素からから容易く連想できるであろう洋楽的ポップス・R&B曲が全編にわたって展開されている。まんまそのままの直球勝負。 コーラスや音作りに関してはかなり良く、エイベックスの彼女に対する力の入れようを明確に感じ取ることが出来る。彼女の歌唱を生かした手堅い作りだと言えるのだが・・・。突っ込みどころも実に多い。2曲目や、ディスチャイ的要素を強く感じる5曲目を始め、彼女の声質と歌唱の魅力を高次元で引き出した良曲があるものの、それ以外の曲に関しては、目立った問題があるわけではないが、並か印象が薄いか、洋楽曲が得てして陥りがちな「たるさ」を感じさせる凡な曲ばかりなのが辛い。そう感じさせるのは、もちろん曲の質の低さもあるのだが、それ以上に曲にも彼女の歌唱にも、殆どヒネリがなく、すべてが予測の範囲内におさまってしまっていることにある。王道なのに無個性で強さがない。意味不明な発声練習がイントロとなっている駄曲である7曲目以降、この傾向が強くなっている。収録曲が14曲とダメダメのお約束の如く多く、さらにましであるシングル・カップリング曲の編曲をアルバム使用に変えて質を下げているのも問題。1曲目の意味不明のイントロも含め、無理やりアーティスト性をひねり出そうとして、全く攻を奏さなかった典型的悪例そのものであろう。 オスカーやエイベックスの思惑と裏腹に、今日本の女性音楽シーンで最も層厚であるこのジャンルにおいて、他のアーティストに抜きん出た何かを感じ取ることができなかった。膨大な露出や宣伝に見合う程の知名度・人気を獲得できていないのは、このことがあるからだ。もはやこのジャンルにおいては、「歌がうまい」「曲がいい」「歌い手の外見がいい」といった要素のみで支持を得るのは難しくなっている。今後の道筋はかなり厳しいとしかいいようがない。(2005/02/26) | |||