秋吉契里

秋吉契里

 秋吉契里 「無力」 1999・9・29 79点
既に歌手活動を辞めていると思われるビーイングアーティスト秋吉契里の2作目。文学性の高い詞でつづった愛憎・エロス・退廃観・人間の負の感情などを、情感ほとばしる歌唱を持って力強く歌い上げる。椎名林檎や鬼束らと同様、いわゆる「情念系」に分類されるであろう曲種であるが、それらとの根本的な違いは、60〜70年代のフォークソングや演歌、ハードロックの要素を感じ取れることにある。また、椎名のような昭和歌謡路線とは違う意味での和的要素があるのも、秋吉ならではの要素であろう。2曲目「キスより熱い運命」、3曲目「嘆きの門」。4曲目「青白い炎のように揺れ続けて」、6曲目「聖地」などでこのことを強烈に堪能することが出来る。また、それだけでなく、ゆったりとしたバラード曲やアップテンポの曲もあるなど音楽的懐もなかなかに広い。正直、歌唱技術は未熟で、曲ごとの歌いわけが出来ていないところもあるし、一部の曲の完成度に問題もあるが、それを超えた音楽的資質や魅力を感じずにはいられない。特に、呪詛の如く切に曲を歌い上げていく歌唱に引き込まれずにはいられない。圧倒的である。また、池田を主軸とした編曲の出来も秀逸。秋吉の曲世界の魅力を増大させている。
メロディー重視のビーイング・GIZAの音楽とは完全に一線を画しているし、癖が強い音楽ということもあり万人にはお勧めできないものの、求めるもの人にはかなりの満足を与えてくれる作品ではないだろうか。優れた才能を秘めているこのアーティストを、成長させることなく活動休止に追い込んでしまったビーイングに怒りを感じずにはいられない。(2004/08/13)



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