COCCO

COCCO

 COCCO 「ラプンツェル」 2000・06・14 98点
1.けもの道      2.水鏡         3.熟れた罪
4.雲路の果て        5.白い狂気        6. ’T was on my Birthday night
7.樹海の糸        8.ねないこだれだ        9.かがり火
10.ポロメリア        11.海原の人魚        12.しなやかな腕の祈り
ジャンル区分ハードロック ラウドロック ヘヴィーメタル グラインドコア
良い点・加点要素作品からほとばしる圧倒的なエナジー 神がかり的なCOCCOの歌唱
悪い点・減点要素あまりに重い作品性ゆえに聞き手を選ぶ
日本が生み出した天才アーティストCOCCOの3作目にして、個人的にCOCCOの最高傑作だと思っている作品。それどころか、日本の女性ソロアーティストが送り出した作品の中でも最高の1作だと信じて疑っていない。
収録各曲は、1st、2ndアルバムがそうだったように、ほとばしる激情を強烈に吐き出す「オルタナティブロック」や「グランジ」的な曲が主軸であるが、「慈愛に満ち満ちた穏やかな曲」が増えているのが以前とは違う特徴となっている。
前者のタイプで圧巻なのは、まず1曲目である。歪みまくったギター、ドゥームメタルばりに重いリズム隊、悲鳴をも織り交ぜ、聞き手を圧殺せんが如く感情をたたきつけるCOCCOの歌唱・・・。この1曲目をして完全に打ちのめされた。2・4・8・9といった同種の曲も含め、こういった曲はあまりに負の感情が出ているが故に、時に聞くのが辛くなってくる。自分の感情の最も醜い部分との対峙を強いられるからだろう。しかし、それ以上に聞かずにはいられない中毒性があるのは、ひとえに何かが憑依したかのようにただただ感情を吐き出していくCOCCOの歌唱と、それを守り立てる演奏に心が反応するからだ。理論理屈ではなく・・・。1・2・4曲目などは、それを示す名曲中の名曲である。言葉の一つ一つ、メロディーの一つ一つ、歌唱の一つ一つが魂を宿した刃となり聞き手を突き刺し、切り刻む。

一方、後者である6・7・10・12曲目などにおいては、うって変わって美しいメロディーと丁寧な歌唱表現とによって、聞き手が犯してきた罪をすべて洗い流さんばかりの「包み込むかのような慈愛」を見せる。
どちらにタイプにしろ、その美しさ、神聖さ、そのすさまじさに聞いていてぐっとくるものを抑えられない。

どうしてこれほどまでに心に響く音楽を作れるのだろうか。どうして彼女はこんなにも凄いのだろうか。それは、彼女の気高さ・純粋さ・無垢さを音楽を通して感じ取れると同時に、古の「残酷童話」が示した「純粋で無垢な存在が故にもつ優しさと残虐さ」が存在するからであろう。この相反する要素の音楽での表現やそのスケールに関し、今をおいても今作およびCOCCOをしのぐものは存在しない・・・。だから彼女は普遍のカリスマとして今でも君臨しているのだ。
細かいところを言えば不満もちらほらある。若干弱いなと思う曲もある。しかし、作品全体の持つ凄みと身を削って音楽をやっているCOCCOを前に、そういった論評は意味を為さないだろう。聞いていてここまで心揺さぶられる作品はないのだから・・・。
今作は、後の日本における「情念系」と「癒し系」を考える上で金字塔的作品だと言える。彼女がいなければ、この手の音楽の進化発展はありえなかっただろう。(2005/06/23改稿)


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