ガーネットクロウ 「Crystallize〜君という光」

GARNET CROW

 GARNET CROW 「I'm Waiting 4 You」 2004・12・08 99点
1.夕月夜     2.冷たい影    3.忘れ咲き
4.君を飾る花を咲かそう     5.U        6.fill A Way
7.僕らだけの未来      8.この冬の白さに      9.ブルーの森で
10.雨上がりのBlue      11.picture Of World

12.Sky ~new arranged track~      13.君 連れ去る時の訪れを
ジャンル区分ポップ ロック プログレッシブメタル ネオアコ
良い点・加点要素曲の有すスケールの大きさ凄み 孤高の音楽性 初期のダークさの復活
悪い点・減点要素シングル曲とオリジナル曲との出来・曲調の違い 後半やや尻すぼみする
従来のJ−POPと一線を隔す独特の音楽世界を構築したガーネットクロウ。荒削りながらも、ダイヤの原石ともいうべき自身の能力を、努力と高い目的意識と斬新な発想とで常に磨き続けてきた。しかし、作品に対する高評価とは別に、心の中でどこか釈然としないものを感じ続けていたのもまた事実。2ndでポップ・ロック路線への傾倒や、3rdでの硬質化した編曲を聞くに、「このまま悪い意味でメジャー路線にいってしまうのではないか」「微妙にスケールが小さくなっているのではないか」と・・・。だからこの作品に対しても期待以上に大きな不安があった。だが、今作を聞き、その不安は完膚無きまでに叩き潰された。恐るべきアルバムである。

1曲目「夕月夜」、2曲目「冷たい影」と、ここ2作のアルバムではあまり見られなかった郷愁観やダークさが復活したのみならず、「U」での力強い歌唱、「fill away」や「picture of world」のように先読みの出来ない独特のメロディーが叩きつけるように提示される。特筆すべきは、サウンドとインストの充実。最近不信感ばかりを抱いていた古井の編曲が劇的に進化をとげ、2ndアルバム以降の編曲の集大成といってもいい程の美しさと壮大さを見せる。一時危惧したプロメタ的硬質な編曲ではなく、1st的幻想的な雰囲気を感じさせつつ、3rd培った重層的で力強い要素を加味したそれは、一発取りに近い中村の歌唱や岡本のいぶし銀のギター演奏、曲の構成要素の一つとしての「詞」を越えた「詞」単体で文学的価値があろうとすらいえるAzukiの秀逸な詞とあいまって、今までにはない「臨場感」と「迫力」「凄み」といった新たな魅力をも創出したといえるだろう。もちろん中村の類まれなメロディーセンスも健在で、その少しの強引さもあり、聞いていてハラハラさせられる魅力がある。そこで感じるのは、個々のメンバーの資質の融合ではなく「がちんこ」のぶつかり合い。それが聞き手を圧倒する大きな理由になっている。
また、「明るくてのれる曲」「ダークな曲」「壮大な曲」「美しい曲」と曲種が幅広いのも、今作の賞賛すべき点であろう。

しかし、これら長所や作品製作方針は、一方で今までにない問題を生み出し、また欠点にもなっていると言える。
充実したインストやサウンドは、中村の歌唱の荒さやもともとの声量の弱さをやや浮き立たせてしまっているように思う。作品の魅力の創出における中村の「歌唱技術(声質は抜き)」の貢献度が今までの中で最も少なく、且つ中村の声質の魅力とAzukiの詞を主軸に成立していた曲のバランスを「ほんの少し」ながらも崩しているように感じるのである。
また、3rdアルバムと同様に「シングル曲とアルバム曲」との違和感がどうしてもぬぐえない。歌唱方法や曲調が露骨に違うし、質も違っている。商業音楽がもたらした「シングルを必ず盛り込む」&「タイアップ元スポンサーの意向に従った曲作り」という慣例が大きな災いをもたらしたように思う。これらことは、普通は問題にすらならない。このことが問題となっている他のアーティストも私は知らない。しかし、比類なき実力を有す彼らだからこそ、ほんの些細なことであっても問題として認識せざるを得ないのである。彼らを業界の慣例に当てはめるのは、「くだらない」以外の何者でもないだろう。

残念ながら上記要素を考慮すると、1stアルバムには及ばなかったし、それ以外の作品を圧倒的に凌ぐものでもなかった。が、問題・課題を補って余りあるメンバーの「揺るぎないものでありたい」という強い想い、それを為すための「絶え間ない自己研鑽」が生み出した各収録曲の勢い。そして何より、通算5作目においても変化を恐れずに斬新且つ完成度の高い楽曲を作り出してくれたことを最大限に評価してこの点にした。
今作はある意味2ndアルバム以降の路線の集大成であり、一つの到着点になる作品のように思う。今後彼らは如何なるものを聞かせてくれるのだろうか。恐怖すら感じるが、今までのどのアーティストも見せてくれなかったものであることは間違いないだろう。もはや彼らに望むものは唯一つ。それは「全曲オリジナル曲によって構成されたコンセプトアルバム」である。(2005/05/07改稿)


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