坂本真綾

 坂本真綾 「イージーリスニング」 2001・08・08 96点
1 inori         2 blind summer fish
3 doreddo 39     4 afternoon repose
5 bitter sweet       6 another grey day in the big blue world
7 birds
ジャンル区分ポップ ロック プログレッシブロック 民族音楽
良い点・加点要素イージーには聞けない高水準且つ深遠な楽曲 坂本の美声
悪い点・減点要素
日本音楽界の超重鎮の一人であり、個人的にも巨匠と称している菅野よう子の秘蔵っ子である坂本真綾4作目。過去3作とは違い、企画物作品ではあるが、巨匠得意のプログレッシブ音楽や民族音楽の要素をふんだんに取り入れた今作の完成度は非常に高く、はっきりいって「イージー」には聞けない作品となっている。それは、幻想的で高潔な編曲と坂本の美声がお見事な1曲目を聞くだけで、容易に理解できよう。そうしたが最後、今作から逃れられなくなる。
わずか7曲の収録ではあるが、その内容に関しては、なまじのフルアルバムなど全く寄せ付けない魅力がある。その魅力の最たるものは、楽曲の多様さと完成度の高さであろう。
宗教音楽の要素を感じさせるデジタルポップ曲である1曲目、切ないミディアムバラード曲である2曲目、躍動感溢れる民族音楽曲である3曲目、AORバラード的な4曲目、民族音楽とロックが融合した壮大なバラード曲である7曲目と、様々なジャンルの曲を見せ付けるだけでなく、そのすべてにおいて、一筋縄ではいかない素晴らしい完成度を有しているのは、まさに菅野巨匠の神通力の賜物。その中でも、3・5・7は圧巻。
しかし、今作をすばらしいものにしたのは、巨匠の実力だけでなく坂本の歌唱によるところが大きい。声優の経歴に相応しく、綺麗な声と丁寧な発声に基づいた歌唱は、汚れなき透明感とみずみずしさと兼ねそろえている。それは聞いていてうっとりするほどに美しい。かつては、巨匠の楽曲に引きずられていた感のあった彼女だが、今作では巨匠の音楽世界の表現者として実に見事にうたいこなせている。これほど素晴らしい歌唱を聞かせる彼女に対し、「アニメ歌手」とか「声優歌手」とかの肩書きをつけることに、もはや何の意味もないだろう。はっきりいって失礼だ。
今作における菅野と坂本の関係を見ていると、曲提供者と歌い手とのあるべき関係があるように思えてならない。この歌い手のためにこのメロディーがあり、このメロディーのためにこの歌い手があり、さらにお互いの存在がお互いの魅力を倍化させている、ただそれだけである。商的なセコさ、腹黒い大人の思惑などは微塵もない。あるのは音楽に対する愛、歌い手に対する愛である。へっぽこなプロデュースを連発している業界関係者は心して今作を聞き、プロデュースの何たるかをしっかりと勉強していただきたい。(2005/05/10改稿)


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