倉木麻衣

 倉木麻衣 「delicious way」 2000・06・28 97点
1.Delicious Way                2.Love,Day After Tomorrow
3.Secret of my heart            4.Stepping ∞ Out
5.Baby Tonight〜You & Me〜     6.Can’t get enough〜gimme your love〜
7.NEVER GONNA GIVE YOU UP         8.Stay by my side
9.Everything’s All Right
   10.happy days    11.君との時間
ジャンル区分洋楽ポップス R&B 歌謡曲
良い点・加点要素倉木の歌唱と質の高い曲との一体感とその完成度の高さ
悪い点・減点要素5〜7曲目あたりの流れがやや重いか
GIZAのトップアーティスト、倉木麻衣のデビューアルバム。デビューの際の方法論について様々なパッシングを受けた彼女であるが、このアルバムで聞ける音楽は、決して真似でもいんちきでもない素晴らしい物であった。
大野愛果を中心とした強力製作人による完成度の高い楽曲は、本格的な洋楽色の強い宇多田とは違い、日本的な歌謡曲の基本を踏襲し、「聞きやすさや馴染みやすさ」に特化したのがその大きな特徴と考えることができる。「アメリカアーティスト」を意識しすぎた他アーティストが、本格路線に傾倒するあまりどんどん細分化し、聞きにくくなり、一般層から支持されなくなってきている中、この方法論は「逆転の発想」であり、「本格派が陥った間隙」を見事に突いたものだった。
また、収録曲に多様性があるのも、今作の大きな特徴である。穏やかで且つ切ないミドルテンポの曲である3・8曲目、洋楽王道バラードの要素を感じる5曲目、少し気だるさを感じさせる6曲目、ノリのよいラップが挿入された7曲目、軽快なR&Bナンバーの9曲目、アイドル歌謡のような極上のもの悲しさを感じさせる10曲目、R&B的ノリのよさがありながらも実に流麗な歌メロが印象的な名曲2曲目などなど、実にバラエティーに富んでいる。しかし、多様性に秀で曲の質にも恵まれたこの作品であるが、最も評価すべき点であり、今作が優れた作品となった決定打とも言える点は、倉木の歌唱ではないだろうか。
未熟ながらも気持ちのこもった歌唱で表現する倉木のボーカルには非凡なものを感じる。彼女の繊細で且つどんな曲種も歌いこなせる柔軟性の高さは賞賛に値しよう。倉木の歌い手としての特性と、大野を主軸とした製作人が生み出した優れた楽曲との見事な融合が、他の洋楽ポップスやR&Bをやるアーティストとは決定的に全く違う、「聞きやすさ」や「切なさ」「哀愁」といったものを生み出すに至った。さらにこのことは、倉木の外見や露出規制の戦略とも見事にかみ合っていたといえる。「宇多田のパクリ」などと叩かれながらも、今作が300万枚以上の売上を獲得したのは、これら要素があったからであろう。
今作は、これら様々な点を考慮すると、20世紀の産業ポップスの中でも最も洗練され、多様性に秀でた作品であり、一つの完成形を提示した作品ではないだろうか。記録的な売上げ枚数に決して引けをとらない歴史的名盤である。(2005/05/08改稿)


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