ZELDA

 ZELDA 「C−ROCK WORK」 1987・04・01 95点
1.夜の時計は12時      2.Electric Sweetie      3.風の景
4.時計仕掛けのせつな       5.ファンタジウム       6.Endless Line
7.Emotional Beach,Communication Party    8.Question−1     9.MOO
10.浴ビル情
ジャンル区分ポップス ロック プログレ しかし実のところ区分不能
良い点・加点要素圧倒的な歌唱センスとメロディーセンスによる摩訶不思議で超絶な音楽世界
悪い点・減点要素編曲は凄いが、演奏は若干弱いか・・・
「とんでもない作品」というのは、こういうものを指して言うものであろう。「最強の音楽とは何ぞや?」という問いに対する一つの答えがここに詰まっている。
音楽性を簡潔に表すなら、「変幻自在・摩訶不思議」に尽きる。幅広い音楽性を見せるアーティストはそれこそ無限にいるが、彼女らほど「枠や限界」を感じさせない者は、今までの日本の女性ボーカルアーティストを見ても、いや世界的に見ても稀なのではないだろうか。しかし、そうであっても、彼らでしか出せないであろうはじけっぷりや、それに相反する暗黒さやえぐさや無常観が一本の筋となって作品を貫いているのが今作の大きな特徴であると解釈している。とにかくそのあまりに強烈な音楽性に、誰しもが吹っ飛ばされること請け合い!!。大昔の童話的な残虐さと知的な要素を気だるい歌唱と、まるでオモチャ箱をひっくり返したかのようなにぎやかなサウンドとが意表を突く1曲目から、ZELDAワールドとも言うべき壮大な音楽世界へ引きずり込まれる。この曲以降、痛快なロック曲である2曲目、暗黒的要素をこの上なく出している4曲目、圧倒的なテンションの高さを誇る6曲目、サイケデリックな雰囲気を感じさすいかれ具合炸裂の7曲目など、同じアーティストが作ったとは到底思えない多様性に溢れた曲らが畳み掛けるように展開される。
その中でも圧巻なのは5曲目の「ファンタジウム」。「のっぺり」とした打ち込みサウンドと淡々としたボーカルと「みょんみょん」としたベース楽曲が異次元的な雰囲気を創出するが、中盤から一転、アフリカの民族音楽的な打楽器の旋律とスキャット気味のコーラスが入り、さらにその後に不可思議なパーカッションが響き渡る後奏というへんちくりんな展開は、もうカルチャーショックと言うほかない。この曲を核とした4〜6曲目の流れが放つ凄みは、今まで聞いたアルバムの中でも屈指。ひたすら圧倒された。収録曲にまとまり感は全くないが、しかし、そこにプログレ的な何かを感じ取らずには入られない。彼女らの音楽を聞いていると、ピンクフロイドやキングクリムゾンの音楽を初めて聞いた時と同じような感覚に襲われる。音楽性は違えど、ロックを土台としており、またシンセの使用の仕方、曲から感じる前衛さなどに何だかわからないが、共通したものがあるように思えてならないからである。
このとんでもない音楽をもたらしているのは、優れた編曲と何よりボーカルのサヨコの歌唱。曲の雰囲気に合わせた柔軟な歌唱を見せながらも、同時に曲に孤高といってもいい個性と質の高さをもたらしている。もはやそれは超人的。彼女以外の歌い手であったなら、今作の収録曲は駄曲か「単に変な曲」で終わっていたに違いない。日本の女性ボーカル史上最高レベルの歌唱がここにある。
限りなく最強、限りなく完全無欠に近いのだが、数少ない問題は、他曲に比べ9曲目の質がやや低いことと、編曲の凄さに比べ演奏がしょぼいこと。後者に関しては、それが曲の雰囲気作りに貢献している面もあるが、もう少ししっかり演奏してくれれば尚よかったように思う。しかし、優れた音楽、最強の音楽を追い求めるのであれば、一度は聞いていただきたい究極の作品。これを聞かずして女性ボーカルグループを語ることなかれ。(2005/05/11)


戻る
名盤紹介一覧に戻る


エンタメ問答に戻る



バツ丸のヲタク拝見に戻る